【教員を目指す人へ】学校図書館司書教諭資格の取得ルートを徹底解説
学校の図書室は、子どもたちの知的好奇心を育む「学びの宝庫」です。その運営と教育活動の中心的な役割を担うのが「学校図書館司書教諭」です。
この資格は、一般的な図書館司書資格とは異なり、教員免許状を持っていることが前提となります。ここでは、学校図書館司書教諭(以下、司書教諭)の資格を取得するための具体的なルートを解説します。
1. 司書教諭資格の定義と役割
司書教諭は、教員としての立場で学校図書館の専門的な職務を担います。
1-1. 法律上の位置づけ
司書教諭の資格は、学校図書館法に基づいています。この法律により、12学級以上の全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校には、必ず一人の司書教諭を置くことが義務付けられています。
1-2. 司書教諭の役割(図書館司書との違い)
項目 | 学校図書館司書教諭 | (公共)図書館司書 |
前提資格 | 教諭の普通免許状が必須 | 資格のみで就業可能 |
働く場所 | 小・中・高・特別支援学校 | 公共図書館、大学図書館、専門図書館など |
主な職務 | 図書館を使った「授業・学習指導」、選書、読書活動の推進、学校内での決定権を持つ。 | 資料の収集・整理・保存、情報提供、レファレンスサービスなど。 |
身分 | 教員(学級担任などと兼務することが多い) | 専門職員(行政職員や非正規職員) |
司書教諭の役割は、**「図書館を教育に活用する」**ことにあります。単に本を管理するだけでなく、子どもたちの読書意欲を高め、情報活用能力を育成するための教育プログラムの企画・実施を担います。
2. 司書教諭資格を取得するための必須要件
司書教諭の資格を取得するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
【条件1】教諭の普通免許状を有すること
前提として、以下のいずれかの教員免許状を取得している(または取得見込み)ことが必要です。
小学校教諭免許状
中学校教諭免許状
高等学校教諭免許状
特別支援学校教諭免許状
※幼稚園教諭免許状、養護教諭免許状のみでは司書教諭の基礎資格にはなりません。
【条件2】「学校図書館司書教諭講習」を修了すること
文部科学大臣の委嘱を受けた大学などで開講される**「学校図書館司書教諭講習」**を受講し、所定の5科目10単位を修得する必要があります。
3. 司書教諭資格の具体的な取得ルート
司書教諭資格を取得する主なルートは、ご自身の現在の状況によって異なります。
ルート1:大学・短大在学中に取得する(最も一般的なルート)
教員養成課程を持つ大学の多くで、教員免許の単位取得と並行して、司書教諭の科目を履修できる課程が設けられています。
大学の教員養成課程に入学し、教諭の普通免許状取得を目指す。
在学中に、司書教諭課程の5科目10単位を履修・修得する。
卒業時に教員免許状を取得し、同時に文部科学省へ申請することで「司書教諭講習修了証書」が交付される。
このルートが最も効率的で、教員免許と司書教諭資格を同時に取得できます。
ルート2:教員免許取得後に「講習」を受講する
すでに教員免許を持っている方や、大学・短大を卒業した後に司書教諭の資格が必要になった方は、このルートで取得します。
教諭の普通免許状を取得する。
文部科学省が指定する大学が開講する**「学校図書館司書教諭講習」**を受講する。
講習は主に**夏季休暇中(7月〜9月)**に集中講義形式で行われることが多く、比較的短期間(概ね5日間程度)で修了可能です。
講習修了後、文部科学省へ申請し「司書教諭講習修了証書」が交付されます。
ルート3:通信制大学の「科目等履修生」として取得する
働きながら資格を取得したい方や、大学を卒業しているが教員免許は持っている方向けのルートです。
教諭の普通免許状を取得していることを確認する。
司書教諭課程を開講している通信制大学に科目等履修生として入学する。
必要な5科目10単位を履修し、修得する(オンライン授業やテキスト学習が中心)。
単位修得後、文部科学省へ申請し「司書教諭講習修了証書」が交付されます。
通信制を利用すれば、仕事や家庭と両立しながら自分のペースで資格取得を目指すことができます。
4. 司書教諭資格取得で広がるキャリア
司書教諭の資格を持っていることは、教員として就職・採用される際に大きなアピールポイントになります。
採用時の優位性: 採用側は、学校図書館法の規定を満たす司書教諭資格を持つ人材を求めているため、選考で有利になることがあります。
学校内での重要な役割: 学校図書館の活性化や、情報教育のリーダーとして、学校運営の中核を担うことができます。
キャリアアップ: 司書教諭の経験は、司書としての専門性と教員としての指導力の両方を高めるため、将来のキャリアアップにも繋がります。
教育と情報を繋ぐ架け橋となる司書教諭は、これからの教育現場でますます重要性が高まるでしょう。