留学・進学・移住の必須資格!IELTSとTOEFLの違いと「あなたに合う」賢い選び方
海外の大学や大学院への進学、または海外移住を目指す際、必ずと言っていいほど耳にするのが「IELTS(アイエルツ)」と「TOEFL®(トーフル)」という二大英語能力試験です。
どちらも「読む・聞く・話す・書く」の4技能を総合的に測るテストですが、そのルーツ、形式、出題傾向には大きな違いがあり、この違いを知らずに対策を進めると、スコアアップの遠回りになってしまうことも少なくありません。
この記事では、IELTSとTOEFL®の具体的な違いを徹底解説し、あなたの目的や得意な学習スタイルに合わせて、どちらを選ぶべきかを分かりやすくご紹介します。
1. IELTSとTOEFL®の基本的な違いを徹底比較
IELTSはイギリス発祥、TOEFL®はアメリカ発祥というルーツの違いが、試験の形式や英語の種類に明確に表れています。
比較項目 | IELTS (International English Language Testing System) | TOEFL iBT® (Test of English as a Foreign Language) |
主な用途 | 留学(イギリス、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ)、海外移住(永住権申請など) | 留学(アメリカ、カナダ、アジア、世界中の大学) |
発祥国 | イギリス | アメリカ |
英語の種類 | イギリス英語、オーストラリア英語など多様なアクセントが混在 | アメリカ英語が中心 |
試験形式 | ペーパー版とコンピューター版から選択可能 | コンピューターでの受験のみ |
スピーキング | 対面式(試験官との一対一の面接) | 録音式(マイクに向かって解答を吹き込む) |
ライティング | 課題1:グラフや表などの視覚情報を描写 / 課題2:論述 | 課題1:リスニングとリーディングの内容を要約(統合型) / 課題2:論述 |
問題形式 | 記述式、穴埋め、選択式など多様。スペルミスが減点対象になる場合がある | ほとんどが選択式(マークシート形式) |
採点方法 | 1.0〜9.0のバンドスコア(0.5刻み) | 0〜120点(各セクション30点満点) |
試験時間 | 約2時間45分(スピーキングは別時間帯になる場合あり) | 約2時間 |
【ルーツと用途の違い】
かつては「北米ならTOEFL®、英連邦ならIELTS」という住み分けがありましたが、現在では世界中の多くの大学がどちらのスコアも認めています。
ただし、アメリカの大学はTOEFL®のスコアを要求することが多く、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドへの留学や海外移住にはIELTSが必須または有利になるケースが多いのが実情です。
【スピーキングの形式】
最も大きな違いはスピーキングです。
IELTS:人間である試験官と実際に会話をします。会話が成立する、聞き返せる、アイコンタクトなどのコミュニケーション能力が評価されます。
TOEFL®:マイクに向かって解答を録音する形式です。論理的な構成力と流暢さが重要で、対人での緊張がない分、練習したテンプレートを活かしやすい側面があります。
2. 目的別・学習スタイル別!最適な試験の賢い選び方
IELTSとTOEFL®はどちらも難しい試験ですが、あなたの得意・不得意によって「スコアが取りやすいかどうか」が大きく変わってきます。以下のポイントを参考に、あなたに最適な試験を選びましょう。
2-1. 受験する目的で選ぶ
目的 | おすすめの試験 | 理由 |
アメリカの大学・大学院への進学 | TOEFL® | 多くの大学でTOEFL®スコアが求められるため。 |
イギリス、オーストラリア、カナダへの留学 | IELTS | どちらも受け入れられるが、IELTSが主流または有利なケースが多い。 |
海外移住(永住権申請など) | IELTS | ほとんどの国(カナダ、オーストラリアなど)が移住目的の英語証明にIELTSを採用している。 |
留学先が未定、汎用性を重視 | TOEFL® | 北米圏での利用者が多く、スコアを要求する教育機関の数がIELTSを上回る。 |
2-2. あなたの得意・不得意で選ぶ
あなたの特徴 | おすすめの試験 | 理由 |
タイピングが得意、PC操作に慣れている | TOEFL® | 全てのセクションがPCで行われ、ライティングもタイピングのため。 |
手書き・筆記が得意、タイピングに不安がある | IELTS | ペーパー版を選択すれば、リーディングやライティングを筆記で解答できるため。 |
対面での会話に抵抗がなく、交渉が得意 | IELTS | スピーキングが対人面接のため、コミュニケーション能力を活かしやすい。 |
対面は緊張する、落ち着いて話す内容を整理したい | TOEFL® | マイクに向かって録音する形式なので、感情に左右されにくい。 |
4技能の得意・不得意の差が大きい(例:リスニングは得意だがライティングは苦手) | TOEFL® | 各セクションが独立しており、得意なパートで満点を狙いやすい。 |
4技能をバランス良くこなせる | IELTS | 統合問題が少なく、各セクションの対策に集中しやすい。 |
スペルミスが多いのが心配 | TOEFL® | ほとんどが選択式のため、スペルミスによる減点リスクが低い。 |
アカデミックな(大学の授業のような)専門的な内容に抵抗がない | TOEFL® | 出題トピックが専門的で、アカデミックな知識が活かせる。 |
2-3. 試験内容の傾向で選ぶ
TOEFL®はリーディングやリスニングの内容を要約してライティングやスピーキングに活かす**「統合型問題」が多いのが特徴です。一方、IELTSは各技能が比較的「独立」**しており、それぞれを個別に測定する形式です。
**「リスニングとリーディングを統合してアウトプットするのが得意」**という方は、TOEFL®が向いている可能性があります。
**「一つ一つ問題を区切って対策したい」**という方は、IELTSの方が取り組みやすいでしょう。
3. どちらにせよ共通する!スコアアップのための基本戦略
IELTSとTOEFL®のどちらを選んだとしても、英語の基礎力向上が最も重要であることに変わりはありません。
志望校の要件を最優先で確認する:まずは、あなたが進学・移住を希望する機関がどちらのスコアを要求しているか、またはどちらが有利になるかを確認してください。
模擬試験で相性をチェック:可能であれば、両方のテストの公式模擬試験を受けてみましょう。実際に体験することで、どちらの形式が自分に合っているかを判断できます。
基礎となる語彙力と文法力を徹底強化:どちらの試験もアカデミックな内容が含まれるため、単なる日常会話レベルではない、**高度な語彙力(アカデミック・ワード)**が必須です。
IELTSとTOEFL®は、あなたの未来の可能性を広げるための重要なパスポートです。この比較ガイドを参考に、ご自身の目標に合った賢い選択をし、効率的な学習を進めてください。