「実は…」セクハラ相談されたら、どうすればいい?大切な人のために知っておきたい対応ガイド
信頼している人から、勇気を出してセクハラの相談をされたとき、あなたはどのように感じますか?
「え、どうしよう…」「なんて声をかければいいんだろう」「私に何かできることはあるのかな…」
驚きや戸惑い、もしかしたら怒りなど、様々な感情が湧き上がってくるかもしれません。そして、「相談された側として、一体どうすればいいんだろう?」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
セクハラは、被害を受けた方の心に深い傷を残す、決して許されない行為です。そして、そのつらい経験を誰かに打ち明けるということは、相談者にとってものすごく勇気のいることなのです。
あなたがその相談を受けたということは、相談者にとって、あなたは「この人なら話を聞いてくれるかもしれない」「助けてくれるかもしれない」と思える、信頼できる存在だったということ。
この記事では、もしあなたがセクハラの相談を受けたら、どう対応すれば良いのか、相談者の力になるために知っておきたい大切な心構えと具体的なステップを分かりやすくお伝えします。
まず知ってほしい「相談されたときの心構え」
セクハラの相談を受けたとき、最も大切なのは、相談者の気持ちに寄り添い、真摯に向き合う姿勢です。パニックにならず、まずは落ち着いて対応することを心がけましょう。
- まずは「聴くこと」に徹する
- 相談者は、つらい経験やつらい気持ちを誰かに話すことで、少しでも心を軽くしたいと思っています。「大丈夫だよ」「話してくれてありがとう」といった、相談者の勇気をねぎらう言葉から始めましょう。
- 話を遮ったり、安易な励ましをしたりせず、まずは最後までじっくりと耳を傾けてください。ただ聞いてもらえるだけで、相談者は安心感を覚えるものです。
- 相談者の言葉を否定しない、決めつけない
- 相談者が話してくれた内容に対して、「それは勘違いじゃない?」「そんな大げさな…」などと否定したり、頭ごなしに決めつけたりすることは絶対にしないでください。相談者は勇気を出して話してくれています。その気持ちを受け止めることが最優先です。
- プライバシーは必ず守ることを伝える
- セクハラは非常にデリケートな問題です。相談者にとって、誰に話したかが知られることは、さらなる苦痛や不安につながることがあります。相談を受けた内容や、相談を受けたこと自体を、相談者の許可なく他の誰かに話さない(口外しない)ことを明確に伝え、プライバシーは守ることを約束してください。
- 相談者の「どうしたいか」を最優先にする
- 相談者は、ただ話を聞いてほしいだけかもしれませんし、会社に相談したい、外部機関に相談したい、といった具体的な行動を考えているかもしれません。相談された側が勝手に判断せず、「あなたはどうしたいですか?」と相談者の意向を確認し、それを尊重することが最も大切です。
具体的にどうすれば?セクハラ相談を受けた後のステップ
話を聞いた後、相談者の意向を踏まえ、必要であれば具体的な次のステップに進むことになります。
- 可能な範囲で事実関係を確認する
- もし相談者が話せるようであれば、「いつ頃のことだった?」「どこで?」「具体的にどんなことを言われたり、されたりした?」「他に誰か見ていた人はいた?」など、可能な範囲で事実関係を確認します。これは、今後の対応を考える上で重要な情報になります。ただし、相談者が話したくないことを無理に聞き出すのはNGです。
- 記録をとる
- 相談を受けた日時、場所、相談者の名前、相談内容の概要、相談を受けた側の対応、そして「相談者の意向(どうしたいか)」などを、覚えているうちにメモしておきましょう。これは、後々会社や専門機関に相談する際に、状況を正確に伝えるために役立ちます。個人的なメモとして厳重に管理してください。
- 利用できる情報を提供する
- 相談者が今後の対応を考えられるように、利用できる情報を提供します。例えば、「会社の相談窓口について知っていますか?」「社内規定ではどうなっているか調べてみましょうか?」「外部の専門機関(弁護士会、労働組合、NPOなど)に相談するという方法もありますよ」といった具体的な選択肢を提示します。ただし、特定の機関を強く勧めたり、相談者の意思に反して連絡を取ったりすることは絶対にしないでください。
- 相談者の同意を得て、適切な窓口に繋ぐ
- 相談者が「会社に相談したい」という意向であれば、本人の同意を得た上で、会社の相談窓口やハラスメント担当部署、信頼できる上司などに繋ぎます。この際、相談者の同意なしに勝手に誰かに話すことは、プライバシー侵害になる可能性があるため厳禁です。
- 今後の対応方針を相談者と話し合う
- 相談者がどのような解決を望んでいるのか(謝罪してほしい、行為をやめてほしい、配置転換したい、損害賠償請求したいなど)を確認し、今後の対応について一緒に考えます。相談者一人で抱え込まずに済むよう、サポートする姿勢を見せることが大切です。
これは絶対にNG!セクハラ相談でやってはいけない対応
良かれと思ってしたことが、かえって相談者を傷つけてしまったり、問題をこじらせてしまったりすることもあります。特に注意したいNG対応を把握しておきましょう。
- 相談内容や相談を受けたことを他の人にペラペラ話す
- これは最もやってはいけない行為です。相談者のプライバシーを侵害し、信頼を完全に失います。相談を受けたことは、相談者の許可なく絶対に口外しないでください。
- 相談者を責める、疑うような言動をとる
- 「なんでその時ちゃんと言わなかったの?」「あなたにも隙があったんじゃないの?」といった、相談者を非難したり、疑ったりするような言葉は絶対にNGです。相談者は自分自身を責めている場合も少なくありません。追い詰めるような言動は絶対にやめましょう。
- 安易なアドバイスや無責任な発言をする
- 「そんなの気にしなくていいよ」「忘れちゃいなよ」といった安易なアドバイスや、「会社に言っても無駄だよ」といった無責任な発言は、相談者を孤立させ、適切な対応をとる機会を奪うことになります。
- 「うちの会社(部署)にはそんな人いないよ」など、会社の責任を回避するような発言をする
- 問題を矮小化したり、なかったことにしようとしたりする態度は、相談者を深く傷つけます。まずは事実として相談内容を受け止める姿勢が大切です。
- 感情的に反応しすぎる
- 相談内容に驚いたり、怒りを感じたりすることは自然な感情ですが、感情的になりすぎて冷静な対応ができなくなると、相談者の不安を煽ってしまう可能性があります。まずは落ち着いて、相談者の話に耳を傾けることに集中しましょう。
相談者への継続的なサポートも大切
セクハラ相談は、一度聞けば終わり、というものではありません。相談者が問題を解決し、安心して過ごせるようになるまでには時間がかかることもあります。
必要であれば、相談後も「その後どうですか?」「何か困っていることはありませんか?」などと声をかけ、継続的に見守る姿勢を見せることが大切です。ただし、しつこく聞きすぎたり、負担になったりしないよう、相談者のペースに合わせることが重要です。
まとめ:あなたの対応が、相談者の未来を左右する
セクハラの相談を受けるということは、相談者にとってあなたがそれだけ信頼できる存在であるということです。そして、あなたの対応一つで、相談者が前向きに問題解決に取り組めるかどうかが大きく変わってきます。
この記事でご紹介したように、まずは落ち着いて相談者の話に耳を傾け、その気持ちに寄り添い、プライバシーを守ることを約束すること。そして、相談者の意向を最優先にしながら、必要であれば適切な情報提供や専門窓口への連携をサポートすること。
これらの基本的な心構えと具体的なステップを実践することで、あなたはきっと、大切な相談者の大きな支えになることができます。一人で抱え込まず、会社の相談窓口や外部機関なども活用しながら、相談者と共に問題解決への道を歩んでいきましょう。
あなたの誠実な対応が、相談者にとっての一筋の光となるはずです。