セクハラによる「損害賠償」と「慰謝料」。気になる相場の目安と決まり方


セクシュアルハラスメント(セクハラ)の被害に遭い、つらい経験をされたあなたへ。

その心と体に受けた傷に対して、法的な形で償いを求めた時、「損害賠償」や「慰謝料」といった言葉を耳にすることがあるかもしれません。

「慰謝料って、一体いくらくらい請求できるんだろう?」

「相場ってあるのかな?」

このように、金銭的な側面について気になっている方もいらっしゃるかもしれません。慰謝料は、あなたが受けた精神的な苦痛に対する、一つの区切りや、回復への後押しとなるものです。

この記事では、セクハラで請求できる損害賠償、特に慰謝料の「相場」について、それがどのように決まるのか、そして知っておきたい大切なポイントを分かりやすく解説します。

ただし、ここでご紹介する「相場」は、あくまで過去の裁判例などから見た一般的な目安です。セクハラの慰謝料額は、個々のケースの状況によって大きく、本当に大きく変動します。

あなたの具体的なケースで、いくらの慰謝料が妥当なのか、請求できる見込みはどのくらいなのかは、必ず弁護士などの法律の専門家にご相談ください。 インターネット上の情報だけで判断せず、専門家のアドバイスを受けることが最も重要です。

セクハラで請求できる「損害賠償」とは?主に「慰謝料」

セクハラの被害に遭った場合、加害者や、会社の責任(適切な対応を怠ったなど)に対して請求できる「損害賠償」には、主に以下の二つがあります。

  1. 慰謝料(精神的損害): セクハラによってあなたが受けた、精神的な苦痛に対する賠償金です。これがセクハラに関する損害賠償の中心となることが多いです。
  2. 財産的損害: セクハラが原因で発生した、お金に関する損害です。例えば、精神的な不調で病院にかかった治療費や薬代、休職や退職によって得られなくなった収入(休業損害や逸失利益)、弁護士に依頼した場合の費用などがこれにあたります。

損害賠償請求は、加害者個人に対してだけでなく、会社に対しても行うことができます。会社がセクハラを防止するための措置を講じていなかったり、相談を受けたのに適切な対応をとらなかったりした場合、会社も加害者とともに、あるいは単独で損害賠償責任を負うことがあります。

気になる!セクハラの「慰謝料相場」の目安は?

多くの方が知りたい慰謝料の相場ですが、先にも述べたように、これは個別のケースによって大きく変動するため、断定的な金額をお伝えすることはできません。

しかし、過去の裁判例などを参考に、被害の程度に応じた一般的な目安を示すことは可能です。

【セクハラの慰謝料相場の目安(一般的な傾向)】

  • 軽度なセクハラ(言葉によるもの、比較的短期間など): 数万円~数十万円程度
  • 中程度のセクハラ(身体接触、執拗な誘い、悪質性の高い言葉のセクハラ、継続的なものなど): 数十万円~100万円程度
  • 重度なセクハラ(悪質な身体への接触や性的な行為、長期・継続的に行われたもの、精神疾患を発症した、退職せざるを得なくなった、会社の対応が極めて不誠実だったなど): 100万円~300万円以上、さらに高額になるケースも

【ご注意ください】

上記の金額は、あくまで過去の裁判例などから見える**「傾向」や「目安」**です。あなたのケースにそのまま当てはまるものではありません。実際の慰謝料額は、この後に説明する様々な要素によって大きく増減します。

また、裁判ではなく、話し合い(示談)で解決する場合は、裁判よりも金額が控えめになる傾向があります。

この要素で慰謝料額は大きく変わる!金額を左右するポイント

セクハラの慰謝料額は、どのような要素によって決まるのでしょうか? 主に以下のような点が考慮されます。

  • セクハラ行為の悪質性・内容・態様: 言葉だけなのか、身体に触れる行為があったのか、性的な関係を強要されたのかなど、行為の内容が悪質であるほど慰謝料は高額になる傾向があります。執拗さや強制性の有無も考慮されます。
  • セクハラが行われた期間・頻度: 短期間で単発的な行為だったのか、長期間にわたって日常的に繰り返されたのか。期間が長く、頻度が高いほど、被害者の苦痛は大きいとみなされ、慰謝料額も高くなる傾向があります。
  • 加害者との関係性・立場: 加害者があなたよりも上の立場(上司、役員など)であった場合、拒否しにくく、被害が深刻化しやすいと判断され、慰謝料額に影響することがあります。
  • あなたの精神的・肉体的な影響: セクハラが原因で、あなたが精神的な不調(適応障害、うつ病、PTSDなど)を発症したり、体調を崩したりした場合、その程度が重要視されます。医師の診断書や、休職・退職に至ったかどうかも慰謝料額を左右する大きな要素です。
  • 証拠の有無と内容: セクハラ行為があったことを客観的に示す証拠(メール、録音、日記、目撃者の証言など)がどれだけあるか、その内容はどれだけ具体的か。証拠が豊富で、被害の実態が明確であるほど、慰謝料請求は認められやすく、金額にも良い影響があります。
  • 会社の対応: 会社がセクハラについて相談を受けたのに、放置したり、不適切な対応(加害者への甘い処分、被害者への嫌がらせなど)をとったりした場合、会社の責任が重くなり、慰謝料額が高くなる可能性があります。逆に、会社が迅速かつ適切に対応した場合、会社の責任による慰謝料額は抑えられる可能性があります。
  • 加害者の反省の態度: 加害者がセクハラ行為を認め、真摯に反省しているかどうかも、慰謝料額に影響する要素となることがあります。
  • 解決方法(示談か裁判か): 裁判で法的な判断を仰ぐ場合、慰謝料額は比較的高額になる傾向がありますが、解決までに時間がかかり、精神的・金銭的な負担も大きくなります。話し合い(示談)で解決する場合は、早期解決が望める一方で、慰謝料額は裁判より控えめになる傾向があります。
  • その他: あなたの年齢、職業、セクハラによるキャリアへの影響なども、状況によっては考慮されることがあります。

これらの要素が複雑に絡み合って、最終的な慰謝料額が決まります。

慰謝料以外に請求できる「損害賠償」は?

セクハラが原因で発生した財産的な損害についても、加害者や会社に請求できる場合があります。

  • 治療費・医薬品代: 精神科や心療内科に通院した際の治療費やカウンセリング費用、処方された薬代など。
  • 通院のための交通費: 医療機関へ通うためにかかった交通費。
  • 休業損害: セクハラが原因で体調を崩し、仕事を休んだり、働く時間を減らしたりしたことで減ってしまった収入。
  • 逸失利益: セクハラが原因で退職せざるを得なくなり、本来得られるはずだった将来の収入を得られなくなったことに対する補償。
  • 弁護士費用: 弁護士に損害賠償請求の手続きを依頼した場合にかかる費用の一部(裁判で認められる場合など)。
  • その他: セクハラを避けるために引っ越しが必要になった場合の費用など、セクハラ行為と直接的な因果関係が認められる損害。

これらの財産的損害を請求するためには、領収書や給与明細、診断書など、具体的な金額や事実を示す証拠が必要になります。

最も重要なのは「証拠」と「専門家への相談」

セクハラの損害賠償、特に慰謝料の請求を検討する上で、最も重要なのは、あなたの被害を示す**「証拠」があること、そして弁護士などの法律の専門家**に相談することです。

弁護士は、あなたの状況を詳しく聞き、持っている証拠を確認した上で、過去の裁判例なども踏まえて、

  • あなたのケースでは、慰謝料の相場はどのくらいになりそうか
  • 慰謝料請求できる可能性はどのくらいか
  • 慰謝料以外に請求できる損害はあるか
  • 損害賠償請求するための具体的な手続き(誰に、どのように請求するか)
  • 必要な証拠は何か、証拠が足りない場合はどうすれば良いか

といった点について、専門的な観点から具体的なアドバイスをしてくれます。

弁護士に依頼すれば、あなたの代理人として、加害者や会社との交渉、必要な手続きなどを全て任せることもできます。これにより、あなたはセクハラ相手と直接やり取りする精神的な負担を軽減し、被害回復に専念しやすくなります。

一人で抱え込まず、相談を

セクハラのつらい経験に加えて、お金の話はさらに抵抗があるかもしれません。しかし、損害賠償や慰謝料は、あなたが受けた被害に対して、加害者や会社が責任を果たすための重要な手段です。

相場はあくまで目安であり、個別の状況によって大きく変わるため、インターネット上の情報だけで判断せず、必ず弁護士などの専門家に相談してください。あなたの味方になってくれる専門家が、きっと解決への道を示してくれるはずです。

まとめ:相場は目安。あなたの被害回復には専門家の力が必要

セクハラによる損害賠償の中心は、精神的な苦痛に対する「慰謝料」です。その相場は、被害の悪質性、期間、心身への影響、会社の対応など、様々な要素によって大きく変動します。

インターネット上で見かける相場は、あくまで一般的な目安であり、あなたの個別のケースにそのまま当てはまるものではありません。

適切な慰謝料額を知り、損害賠償請求を実現するためには、あなたの被害を示す証拠を収集・整理すること、そして何よりも、弁護士などの法律の専門家にご相談することが不可欠です。

どうか、そのつらい経験と、それに伴う金銭的な不安を一人で抱え込まないでください。勇気を出して専門家に相談することが、あなたが被害から回復し、平穏な日常を取り戻すための、最も確実な一歩となります。

あなたが適切な被害回復を得られるよう、心から願っています。

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