セクハラで受けた心の傷…示談金（慰謝料）の相場ってどれくらい？
もしあなたがセクハラ被害に遭い、心身ともに辛い状況にあるとしたら、本当にお辛いことと思います。許されない行為によって傷つけられ、その後の解決策の一つとして「示談金」や「慰謝料」という言葉に関心をお持ちかもしれません。
「一体いくらくらいが妥当なの？」「相場ってあるのかな？」そんな疑問や不安を抱えているあなたに、セクハラにおける示談金（慰謝料）について、知っておいていただきたいことをお話しします。ただし、金額はあくまで目安であり、ケースによって大きく異なることをご理解くださいね。
セクハラにおける示談金（慰謝料）ってなあに？
セクハラ被害を受けたとき、裁判で解決するのではなく、加害者や会社との話し合いで解決を目指す方法があります。この話し合いの際に、被害を受けたことによる精神的な苦痛や、それによって生じた損害に対して支払われるお金のことを、一般的に「示談金」とか「解決金」などと呼びます。この示談金の中に、「慰謝料」が含まれることが多いです。
慰謝料とは、セクハラという不法行為によって受けた精神的な苦痛を償うためのお金のこと。その他にも、セクハラが原因で病院に通った場合の治療費や、仕事を休まざるを得なかった場合の休業損害などが示談金に含まれることもあります。
セクハラの示談金相場は「これ！」と決まっていないのはなぜ？
あなたが一番知りたいのは、「結局、示談金の相場はいくらなの？」ということかもしれません。でも実は、セクハラの示談金には「〇〇円」と決まった相場はありません。なぜなら、セクハラは一つとして同じ状況がない、非常に個別性の高い問題だからです。
では、どんなことが示談金の金額に影響するのでしょうか？具体的に見ていきましょう。
- 被害の深刻さ: セクハラによって受けた精神的なダメージの大きさは、金額に大きく影響します。眠れなくなったり、食欲がなくなったり、病院に通う必要があったりするなど、心身への影響が深刻なほど、慰謝料は高くなる傾向があります。
- セクハラの内容や悪質性: どのようなセクハラ行為だったのかも重要な要素です。例えば、不快な言葉を浴びせられたのか、体を触られたのか、それとも性的な関係を強要されたのか。悪質性が高い行為であるほど、金額は高くなります。
- 行為の継続性や回数: 一度きりの不適切な言動なのか、それとも長期間にわたって、あるいは繰り返し行われたセクハラなのか。継続性がある場合や回数が多いほど、被害者の苦痛も大きいと考えられ、金額に影響します。
- 加害者との関係性: セクハラをした人が、あなたの上司だったのか、同僚だったのか、それとも取引先の人だったのか。特に、力関係のある上司などからのセクハラは、拒否しにくく、被害が深刻になりやすいため、金額が高くなる要因になり得ます。
- 会社側の対応: 会社にセクハラについて相談した際、会社が適切に対応したかどうかも重要なポイントです。会社がセクハラを放置したり、被害者に対して不利益な扱いをしたりした場合は、会社自身の責任も問われることになり、それが示談金に影響することもあります。
- その他: 被害者の年齢や立場、セクハラによって失ったキャリア、加害者が反省しているか、謝罪があるかなど、様々な要因が金額に関わってきます。
一般的なセクハラ慰謝料の目安は？（あくまで参考として）
「相場がないと言われても、何か目安が知りたい…」そう思いますよね。裁判になった場合の判例などから推測される、一般的な慰謝料の目安を参考としてお伝えします。
軽度のセクハラ（不快な言動など）の場合、数十万円程度となることが多いようです。
一方で、悪質なセクハラ（体を触られた、性的な関係を強要されたなど）や、長期間にわたるセクハラ、あるいは精神的な被害が深刻で通院などが必要になった場合は、数百万円となることもあります。会社の責任が重いケースでは、さらに高額になる可能性もゼロではありません。
【注意してほしいこと！】
- この金額は、あくまで過去の裁判例などから導き出された一般的な目安です。
- 示談で合意する金額は、当事者同士の話し合いや交渉によって決まります。必ずしもこの目安通りになるとは限りません。
- あなたのケースがいくらになるかは、個別の状況によって大きく異なります。正確な金額を知りたい場合は、必ず弁護士などの専門家に相談してください。
示談交渉を有利に進めるためにできること
もし示談での解決を目指すなら、少しでも納得のいく結果を得るために、いくつかできることがあります。
- 証拠を集める: セクハラがあったこと、それによって自分がどんな被害を受けたのかを示す証拠は非常に重要です。セクハラを受けた日時、場所、具体的な言動、その時の自分の気持ちや体調、誰かに相談した記録、医師の診断書など、できる範囲でメモしたり、記録を残したりしておきましょう。
- 専門家（弁護士）に相談する: セクハラ問題や示談交渉に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。あなたの状況に合わせて、適切な慰謝料の目安や、今後の交渉の進め方についてアドバイスをもらえます。また、弁護士に交渉を任せることで、加害者や会社と直接やり取りする精神的な負担を減らすことができます。
- 感情的にならず冷静に: 示談交渉は、感情的にならずに事実に基づいて行うことが大切です。集めた証拠をもとに、なぜ自分がこれだけの慰謝料を求めるのかを、論理的に説明できるように準備しましょう。
示談だけが解決策ではありません
セクハラ問題の解決方法は、示談だけではありません。
- 会社にセクハラがあったことを報告し、調査や加害者への処分を求める。
- 労働組合や社内の相談窓口に相談する。
- 弁護士に依頼して、加害者や会社を相手取って裁判を起こす（民事訴訟）。
- 悪質なケースでは、警察に被害届を出したり、刑事告訴を検討したりする。
- 公的な相談窓口（法テラスや各自治体の相談窓口など）を利用する。
これらの選択肢も視野に入れながら、あなたにとって最善の解決方法をじっくり考えてみてください。
まとめ：一番大切なのはあなたの回復と未来
セクハラの示談金（慰謝料）に「相場」はありますが、それはあくまで目安であり、個々のケースによって大きく変動します。金額ももちろん大切ですが、一番大切なのは、セクハラによって傷ついたあなたの心と体が回復すること、そして今後同じような被害が起きないようにすることです。
一人で抱え込まず、信頼できる人や、弁護士などの専門家、会社の相談窓口、公的な機関などに相談してみてください。あなたの味方は必ずいます。
この記事が、あなたが前向きな一歩を踏み出すための、少しでも助けになれば嬉しいです。